勿忘草



そうして私達は一時間程車で移動し、
やっと目的の病院に辿り着いた。


「空木はどうする?」



「私も挨拶をしたいので、ついて行きます」






「…すごい…」



思わず言葉が漏れる。



それはとても大きな病院だった。



広い花壇は隅々まで綺麗に整えられ、
花の上を蝶々がその上をふわふわと舞う。



そしてその周りを看護婦さんが車椅子を押しながら、
患者さんと散歩していたしている。



私達はその脇を通って病院で入った。




内装もとても綺麗で、高くて解放的な天井に、壁に飾られた美しい絵画。



私達は看護師さんに案内されて、
エレベーターに乗った。





「こちらへどうぞ」



そう言われて案内された部屋に入る。




「こんにちわ」



そして白衣を着た白髪頭の男性が迎え入れてくれた。



部屋は広々としていて、
触れてしまえばすぐにでも崩れてしまいそうな山積みの書類がのった大きな机。


そして大きな本棚には難しそうな本が敷き詰められていた。



真ん中には来客用のソファ。


全体的にとても重厚感のある部屋だった。


「葛城さん。初めまして、榊総護です。今回は無理をきいていただいて、ありがとうございます」


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