“おさななじみ”に恋をする。上【上下完結】
これじゃあ。


ちぎれるんじゃないかって心配になるくらい尻尾を振るマロンも顔負けだな。


職員室のドアのところで立ったまま苦笑するオレの後ろで響く足音。


そのあまりにドカドカした音に、


“朝から廊下を全速力なんて。
ほんと、元気な高校生だよ”


半ば呆れ気味に振り返った瞬間。


ズダーン!!


丁寧にワックスがけがしてあるとも思えない廊下で、女の子が一人、派手に転んだ。



と同時に、かばんが吹っ飛び、赤いスクエアタイプのメガネも廊下に転がる。



え・・・。
マジ・・・かよ。


今のは
かなり
痛いだろ。


廊下にうつ伏せになって、ピクリとも動かない女の子が心配になって、


「大丈夫?」


近寄るオレに、


「来ないで!」


女の子は廊下にガバっと手をつき、顔だけあげた。

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