“おさななじみ”に恋をする。上【上下完結】
「こんな・・・。
特別室に入れる財力があるなら。
すぐにでも、帰ってこられるはずなのに」


ため息まじりの言葉。


「でも。
親御さんだって、きっと、辛いんだろうな。
子供より、仕事を優先させなければいけないなんて」


同情するような口ぶり。


「私にだって、経験がある。
あれは、本当に、辛かった。
でも、世の中ってのは、1人で出来上がってる社会じゃない。
つながっている社会だ。
だから、そんな不条理も、あえてのまなければいけないときも、ある」


そう言って、顔をしかめながら。


医師は、ただ一人の親の顔から、厳しい医師の顔に戻った。
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