月の兎 ~ 十五夜の恋
「この小説は恐らく十月の末に刊行されます
だから……
あまりこのコードネームを口外しないでもらいたい」
「なぁんだ
そんなことですか
それなら全く心配ありませんよ
あたしの『月の兎』の話なんて十五夜の夜にしかしませんし
たまたまその話を聞いたセンジンさんが
とってもレアなだけです」
「いや
その言葉は信用できないな
来月の十三夜の十月二十日
晩秋の名月までは
キミはボクの監視下にいてもらいます
必要なものはあとで取りに帰って結構
でもその後は
ここでボクと暮らしてもらう
いいね」