先生の隣で


私はシャーペンを持つ手を止めた。


「桜井?」

「…たくないっ」

「はっ?」

「書きたくないっ」

「なんでっ」

「書き終えたらフラれちゃうっ」


私は準備室を飛び出した。



ただ逃げているだけかも知れない。




だけど怖いんだ。





誰もフラれるのが怖くない人なんていない。



誰でももつ感情だよね。




私はそう思いながら屋上にきた。


「はぁはぁ。」



せっかく朝からセットした髪はぐしゃぐしゃで
私は髪をほどいた。



もう触られることのない髪の毛



鏡でみるといつも太陽の光で
キラキラ輝いていた髪は
寂しそうに、太陽の光を受け止めていた。




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