~天へ送る風~

 ……信じられないものを見た。

 その青い光線は少女の眉間の少し上の額から出現していた。

 そして、それによってリリアを捕らえ、射すくめていた。


「アレキ、サンドラ!」


 彼女の眼は異様に輝き、リリアを見つめた。

 視線を合わせただけで相手を不幸に陥れ、殺しかねない『邪眼』で。

 リリアは宙にはり付けにされた。その衝撃でアレキサンドラはなんとか目が覚めた。


「お母さん!」


 彼女は駆けつける。

 でも、リリアは少しも苦しそうにはしていなくて、覚悟はできていた、という表情で、意識を失う寸前、彼女にかけられた呪い、『邪眼』を封印にかかった。

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