~天へ送る風~
「よし、すぐにも出発しよう」
アレキサンドラは首をひねる。
「え? 今、現時点で……? もう季節は冬ですよ、それなりの支度ってもんが必要ですよ、王子」
「ん? なにか問題なのか? このままで」
「冬山にそのまま赴かれるなんて、自殺行為です!」
すると王子は胸を張って、
「あそこは私の庭だ。ちゃっちゃといって、大蛇を追い払うなり、殺してしまうなりして、泉の水をくんでくるのだ。えーと……」
「アレキサンドラと申します。今更ですが」