~天へ送る風~
「わかった。これから君をリックと呼ぼう。どのみち身を潜めて行動せねばならないのだ。それに……」
アレキサンドラは頭を傾げた。
「それに……?」
「なんだか二人は特別な感じがするからな。パートナーとしても申し分ない。うむ! さあ、来るのだリック! うん、いい名前だ」
急なことで冷や汗をかいたアレキサンドラだったが、男装だったため、この異様な事態をだれにも見とがめられずにすんでよかった。
王子は跳ね、飛び上がって彼女を呼んだ。