~天へ送る風~
「詩人のまねごとをしようと、だれも気がつかぬ。初めはずいぶん気分がよかったが父王礼賛の唄を何度も何度も、子らにねだられて」
それは、といいかけ、アレキサンドラはくすりと笑った。
「きっと王子の王様への気持ちがこもっているからでは? わたくしも聴いてみたい」
まだこぼしている王子をよそに、アレキサンドラは軍馬から荷を降ろし、周囲の枝を払い、枯れ草を多く集めてきた。
「何を……しているのだ?」
「少し、休みましょう」
アレキサンドラは言葉少なくそう言った。
「そ、そうか……」