~天へ送る風~

 水を求めて集まるものもない。皆、毒気にあてられるくらいならと、遠巻きにしている。

 そして、洞穴から目を光らせていた白蛇は物言いたげに二人を見つめていた。

 近づこうとすると、シューシューと威嚇のような音をたてた。

 これだから、とアレキサンドラは思う。


「動物の真似はよしてください宰相殿。似合ってませんよ。大体、この時期、捕食に出てくる蛇はいません」


「まさかあれがマグヌスだって? しかもあれ、真実、本当に大蛇に見えるが!」


「これは伝説級の与太話に近いのですが蛇は金物が嫌いだと聞きます。多分、あの剣で封印せられているのでしょう」


 サフィールは胸を押さえて震えた。
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