~天へ送る風~
「そ、それではマグヌスは……城でうるさかったあいつは」
アレキサンドラは深く深く、息を吐いた。
「それは偽物であると申し上げました。王子、マグヌス殿は竜のような方。きっと何かわけがあるのです」
すると、白蛇はなんでもないことのようにするすると側へやってきた。
「う、ううわあ!」
「いくら大蛇だからといって。あれはマグヌス殿ですよ王子!」
長さはどのくらいなのか今のままではわからないが、洞窟から出てきたにしては終わりが見えない。
頭は人間の子供一人くらいは軽々と飲み込んでしまえるほど大きい。
もっとも、顎の骨がはずせる蛇の補食するところをみると羊の一頭くらいは丸飲みにするらしいので、定かでない。