~天へ送る風~


「そもそも、剣は示していた。この力で、あなたを両断せよと。さすがにそれはできかねますが」


「参ったね。これは全く予想外だったよ……言わなくともちゃんと知っているのだね、君は。さすがリリアの娘」
 

 マグヌスだった蛇は気力だけで頭をもたげていた。


 彼女は汚れを落とそうと、刀身を泉に浸し、水面から目を離さなかった。

 水の中から立ち上る、細かく乳白色の泡が次第に形をなして浮かび上がった。


「王様!」


 水面に映ったその相貌はだれでもなく、その国の王だった。
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