~天へ送る風~
ぱち、と目を開いた彼らの王は泉の浅瀬に立ちつくし、
「ずいぶんと長く眠っていた気がする」
と、のたまった。
感涙にむせぶ宰相マグヌスである大蛇はともかく、王子まで男泣きに泣くのをおいて、すっと進み出て、アレキサンドラは言った。
「いつまで、そのような流行遅れの格好をなさっておいでなのか。ぶざまですよ、王様」
一瞬、水をうったように周りは静けさにみち、王も、瀕死のマグヌスもサフィール王子まで、彼女を凝視した。
「王様、母は口を酸っぱくして申しております。王たるもの臣民に劣るような業はなしてはならず、たえずその上に君臨するものと」
ここでなぜリリアの名前が出てくるのか?
それはリリアが建国の使者のまねごとをしたことがあり、彼らに協力したからだ。