仮面の下に捕らわれて
しかし、泣いてばかりが私じゃない。
店を出てすぐ帰宅し、泣いて赤くなった目を丁寧に冷やす。

タオルを顔から放し、鏡を覗く。

黒髪ストレート、ブラウンの細いフレームの眼鏡に、勿論スッピン(というかファンデーションはつけているけど)。
制服のスカートも膝丈を守っている。

学園内では1、2を争う目立たなさだと思う。
あえて目立たないようにしているのだから当たり前とも言えるが。

部屋に戻り制服をハンガーにかける。
変わりにブラウスとショートパンツを着て、髪を巻いていく。

それが終わったらファンデーションを塗り直して眉を整え、アイシャドーにアイライン、マスカラ、口紅…
濃過ぎずナチュラルメイクを心がけながら。

ジャケットを羽織ると、私はいつもの場所へと出かけた。
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