仮面の下に捕らわれて
「百香ちゃん…?」

首を傾げながら彼が歩み寄ってくる。
私の足が入り口で止まってしまったから。

「どうしたの?ヒドい顔してる…」

「えっ…!嘘っ」

慌てて彼に背を向ける。
化粧失敗したかな?
どうしょう恥ずかしい…

「百香ちゃん?どうしたの?今日遅かったね」

「すみません…みっともない顔してきて…」

慌てていたら頭の上に彼の手がポンと置かれた。

「また子ども扱いですか…」



いつもは笑って過ぎるはずのやりとりなのに、今日はなんだかいろいろありすぎて…
















「ごめん。みっともなくなんてないよ。泣きそうな顔してたから」



涙が一粒床に落ち、木の色を濃くする。

私はこの人の前ではいつもただの『百香』に戻ってしまう。
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