森のクマ野郎

いろんな想像

「そろそろリチャード様が帰って来るわ。部屋のクローゼットの中にある服に着替えなさい、その瞬間から貴女はリチャード様の専属メイドとして働いてもらいます。」


それだけ言うとおばさんはそのお坊ちゃまの部屋から出て行った。そういうわけで私も与えられた部屋で与えられた服に着替えようとした。

「うっわ…冗談キツいよ…」

開けたクローゼットの中にはどこかで予想をしていたメイド服が入っていた。
まさかこんな服を自分が着る日が来るなんて……。




それにしても私のご主人様とやらはいったいどんな人だろう。

熊伍郎……名前からはやっぱり大柄で汗くさくて、はふはふ言ってそうなイメージだよね。
あれ？これって偏見？
でもそんな感じでしょ？

自分のことをリチャードなんて名前つけるとはそうとう頭いってるねご主人様も……、
てか同期なんだよね…めんどいめんどいめんどい！そもそも何この状況わけがわかんない!?



何素直に私もメイド服着ちゃってんの!?てかあのおばさん腹立つ！


「はぁ…この際もう諦めて熊伍郎とかの身の回りの世話でもしてあげるべき…？」

完全に気分は最悪な状態、
こんな気分になったのは中学のスキーの修学旅行前日に足を折った時以来だ。




「はー、病む病む～。先が見えなー……………い……」


文句を言いながらも部屋を出ると自分の約３ｍ先に男の人の後ろ姿が見える。
背が高くて綺麗すぎる金髪の色白の男の人……が生着替えをしている！


「？」

あたふたしている私の気配に気付いたのか彼は振り返った。

鼻筋が通ってて堀が深くて青い瞳、美しすぎたその容姿はまるで外人さんのようだ。

一瞬思った………




この人がご主人様のリチャード……？