森のクマ野郎
一時はキレてどうしようかと思ったところだけど、すぐに落ち着いてくれたみたいでよかった。まさか初対面でブスなんて言われるとは思いもしなかったけど、あのおばさんといい金持ちは性格悪いねほんと。



「昨日聞いた俺に庶民とやらを教えるメイドか、」

「まぁ……はい」

「これからは俺の言うことに従え、逆らうことは許さないからな。」

「私メイドなんてしたことないんで気利かないかもですけどよろしく」

「はぁ?」

「……お願いします。」

どうやらこいつはタメ語を遣われることが嫌いみたい。
偶然こんなお金持ちの家に生まれただけのこいつはこの私に敬語を遣わせたいらしい。

なんだろう、無償に腹が立つ





「まぁいい。今日からは今みたいに必要最低限のことは自分でする…」
「ちょっと待って!"今みたい"にってどういう意味ですかー!?」

「は?今こうやって一人で着替えてんだろ?庶民は1人で着替えるんじゃねぇのか?」


やばい!こいつ金持ちは金持ちでもびっくりするぐらいに甘やかされすぎた金持ちの典型的すぎるパターンだ!?

「えーと…今までは着替えはメイドさんに手伝ってもらってたんですか…?」

「当たり前だろ?家にいるのに自分でシャツを脱いで部屋着に着替えるなんて1人でするわけないだろーが。庶民は全部自分でしなきゃならないとは可哀相な生き物だなまったく…」
「バッカじゃないの!?あんたもあんたの親も全部!!甘やかされんのもいい加減にしなよ!自分1人で何もできないあんたの方がよっぽど私たち庶民なんかより可哀相だわ!!!」


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