森のクマ野郎
いろいろバカらしくなって来た私はバカお坊ちゃんに向かってなんかもういろいろとぶちまけてしまった。


言ってから後悔した、
やばい!絶対怒ってる!って、そう思ったから。

彼の顔が見れない……だけどゆっくり勇気を振り絞って彼の顔へ視線を向けると……





「よくもまぁこの俺様にそんな口利けたもんだなてめぇ…?」

ものすっごく怒ってた~っ!




すぐそばまで来た彼はガッと強く私の手首を掴んだ。

うっわ~めっさえぇ体してる~


ってそうじゃなくて!

「ひやー!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!!申し訳ありませんご主人様ーっ!」
上半身裸の彼の肉体美に見惚れている場合じゃなくて私は精一杯に頭を下げて謝り続けた!
だって握力どんだけー!ってぐらいに力強いんだもんこいつ!?


「ちっ…もうつまんねぇこと言うじゃねぇぞメイド?」

「わ、わかりましたー!」

ここまで必死に人に謝ったのははじめてな気がした。
離してくれた手首にはびっくりするぐらいにくっきりと跡形が残されていた。私は本気で腕が折れるんじゃないかと思った。
本気で折られるんじゃないかと思った。
このお坊ちゃん贅沢に楽して暮らしてる割にかなりの力の持ち主みたい、体も引き締まってかっこいいし……


「おいメイド、あそこのクローゼットの引き出しにあるTシャツを取って来い。」

「は?それぐらい自分で…」
「あぁ゛?」

「すぐにお持ちいたしまーす!」



ただ今の私には奴の目はまるで人殺しの目のように見える…!!
私の中の何かが彼に逆らうなと言っている!






どうやら私の中で彼は危険人物にインプットされたらしい。




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