線香花火
春の日
「忙しい」そんな言葉を何度呟いただろう。ため息をついて花帆は書類をめくった。
彼女はこの四月に、新しい部署に異動になったばかりだった。
忙しいのもそのはず、今回の異動で部署の大半が入れ替わって5人のうち3人がまだ何をしてよいのかわからない状態で、それなのに部署の仕事を取りまとめるはずの課長が入院したのだ。
みんなどこに何があるかもまだわからない、必要な書類もわからない…そんなもどかしい状態でこの人数。仕事が順調に終わる訳が無い。花帆はまたため息をつく。
(今日は何時に帰れるのかわからないわ…)そう思いトイレに行くフリをして携帯を持ち出す。
『今日は遅くなりそう、お迎えよろしく』メールを手早く打ち送信する。するとすぐに携帯が震えた『わかったよ』と一言。花帆の夫である芳弘からだ。花帆はホッとしてまた席に戻った。
彼女はこの四月に、新しい部署に異動になったばかりだった。
忙しいのもそのはず、今回の異動で部署の大半が入れ替わって5人のうち3人がまだ何をしてよいのかわからない状態で、それなのに部署の仕事を取りまとめるはずの課長が入院したのだ。
みんなどこに何があるかもまだわからない、必要な書類もわからない…そんなもどかしい状態でこの人数。仕事が順調に終わる訳が無い。花帆はまたため息をつく。
(今日は何時に帰れるのかわからないわ…)そう思いトイレに行くフリをして携帯を持ち出す。
『今日は遅くなりそう、お迎えよろしく』メールを手早く打ち送信する。するとすぐに携帯が震えた『わかったよ』と一言。花帆の夫である芳弘からだ。花帆はホッとしてまた席に戻った。