CREAMSODA
第二章
新年
− 1982年1月 −
年が明け1月
紗耶の体調もよく、お腹の状態も昨日のエコー検査では問題無しだった。
紗耶は叔母の家から学校に通い、卒業までは妊娠の事実は内緒にする事にした。
もちろん事情を知っている綾美も、紗耶の考えに協力し応援しているが
、裕也には知らせてはいない。
「紗耶がいないとホコテンにいっても、ちっとも面白くないよ。」
「ゴメンね!」
「でも伸ちゃんに会えるから!
紗耶ッ 私ね伸ちゃんと付き合う事にした。
紗耶が伸ちゃんに言ってくれたんだってね。
伸ちゃんが言ってた。
ありがとう!紗耶」
「よかったね!綾美。」
「ねえ、予定日はいつなの?」
「7月3日だって叔母さんが言ってた。」
「紗耶もママになるんだね。
卒業式迄、お腹目立たなければいいね!」
紗耶と綾美は久々に会ったせいか、時が立つのも忘れ、話が止まらない!
がしかし裕也の話題をする事は一度もなかった。
勿論紗耶は裕也の事を考えない日はなかったが。
ただ6月の日本GPには会える! きっと会えるそう信じて。
− 5月 −
高校を無事卒業した紗耶は、叔母の病院を手伝いながら出産の準備に入った。
体調は良好で出産にも耐えるだろうとの、ドクターの診断が出たのを何より、叔母は喜んでいた。
来月は裕也に会える その思いが病魔に勝っているのだろう。
5月の末の日曜日に綾美がやってきた。
「紗耶!オールディーズの新しいカセット持ってきたよ!」
「綾美、そんなの聞いたらお腹の赤ちゃんびっくりしちゃうよ!」
「そう思って、ソフトな曲ばかり、録音してきたんだ!
♪悲しき街角でしょう
♪砂に書いたラブレター
♪大人になりたい
♪煙りが目にしみるなど、桜井綾美スペシャルなんだから。」
「ありがとう!早速聴いてみる。」
二人はオールディーズを聴きながら、赤ちゃんの名前はどうするとか男の子だったら将来は何にさせるとか、話題は尽きない。