CREAMSODA
第三章
紗菜
− 2002年 紗菜のリビング −
自分の生い立ちを知った紗菜は顔をくしゃくしゃにしながら大粒の涙を流していた。
「叔母さんは、きっと両親の辛い話を君に聞かせたくなかったんだよ。」
伸二はそう言った。
「伸二さん、ありがとう!
私 愛されて生まれて来たんだね。
両親にちゃんと愛されていたんですね!」
「そうだよ紗菜ちゃん。
紗菜ちゃんはたしかに愛されていた、短い時間だったかも知れないけど。
あっそうそう、綾美が近くの喫茶店にいるんだ、会ってくれるかい。」
「はい!私も逢いたいです。」
紗菜と伸二は町屋駅前の喫茶店「みどり園」のドアを開けた。
奥の席には綾美が座っている。
「紗菜ちゃんね。」
「はい綾美さん。」
二人は抱き合い号泣した。
「お母さんにそっくりだわ。
とても美人よ!」
紗菜は少し照れながら、綾美の話しを聞いている。
「紗菜ちゃんに渡したい物があるの。」
綾美はカバンの中からピンクの小箱を取り出した。
「あなたのお父さんがお母さんの紗耶さんに贈ったものよ!」
「これがあのCREAMSODAの指輪?」
「そうよ、紗耶が最後に私に託した指輪!」
紗菜はその指輪を手に取り、再び号泣する。
1時間程綾美と話した後、紗菜は綾美と再会の約束をして喫茶店を後にした。
− 数日後 原宿 −
紗菜は原宿に来ていた。
「お母さん ここで踊っていたんだね。」
遠くから音楽が聞こえてくる。
CDをかけながら、ローラーの少女が数人踊っていた。
「まだ、いるんだ!ローラーって」
紗菜は立ち止まり、その少女達をずっと見ていると、お母さんに逢いたい!という気持ちが溢れ出した。
紗菜は涙を流しながら、ローラーの女の子達をみていた。
流れていた曲は、あのアットザホップだった。
ベンチに座り、少女達を見ていた時の事だった。
紗菜の目の前に、一筋の閃光が!!!走った。