CREAMSODA
第四章

就職


− 2004年1月 −

赤木紗菜(21歳・早稲田大学4年生)は卒業を控え、社会人一年生を迎え夢を膨らませていた。

就職難の中、6度目の面接でやっと受かった出版会社に就職が決まり

入社への準備のために、友達の松下明日香と渋谷に買い物に来ていた。


「明日香の会社、制服ないって本当?」

「本当だよ、でも地味な服装じゃないとだめみたい。」

「それも、こまるわね!おしゃれな服着れないよね。」

「いいの、家出る時はおしゃれして会社で着替えるから!
紗菜の会社は、どんな制服?」

「なんか昭和のOLみたいな服、やになっちゃう!」


二人は、そんな話しをしながら渋谷の街を歩いていた時に、一人のスーツを着た40代位の男性が二人の方をじっと見ていた。


「ねぇ君達は学生さん?」


二人はいきなり声をかけられ、ナンパかなとも思いつつもその男性に、『もう卒業するけど』と答え、その場を立ち去ろうとしたが、男性は二人に名刺を渡した。

名刺には「オフィス・アイ」スカウト部長
松田勇次
と書かれていた。


「何、この会社?」


紗菜がそう尋ねる!


「芸能事務所のスカウトをしている、松田といいます。
少しお話させてもらいたいのですが。」


紗菜が時間がないから無理ですと答えたが、明日香は少し興味をもったらしく、少しなら話しを聞いてみてもいいと。
結局近くのカフェで話しを聞く事になった。


「一応オフィスアイの話しをしておきます。
女優・タレント・モデル・ミュージシャンなどのプロデュースをしている会社です。
所属している人は全員女性だけで、女優の南川景子・矢田絵里香、ミュージシャンのAYA、女性ロックバンドのBELIZEなどが活躍しています。
ネットなどで調べてもらえば解りますが、あやしい芸能事務所ではありません。」


明日香が松田に尋ねる。


「私達は22歳よ!普通10代の娘に声をかけない?」

「たいていはそうですが、私はプロです。
人を見極める目は持っています。」


松田は明日香ではなく、紗菜に興味があったらしい。


< 37 / 39 >

この作品をシェア

pagetop