エージェント
「少なくとも親父の読み通り、東にはミツの存在はバレてへん。お前はこっちに戻ってきてからも正体隠して仕事してたからな」
「………」
「ほんま、正体偽るのが一番うまい」
「それは褒め言葉?」
「褒めてへんわ!」
「まあ、なんとかなるでしょ」
しぶしぶ納得したように部屋を出て行く銀。
「はぁ…」
銀も、妹尾も、心配しすぎている。
返り血まみれで、夜の街を歩けば喧嘩。
仕事のためなら女としての最大の武器であろうカラダだって、使った。
正直いうと、組長がわたし自身を頼ってきたのは初めてだ。
心配?
そんなことはさせない。
絶対、赤羽のために、
わたしの仕事は失敗しない。