エージェント





さすがにこの季節に鍵のしまっている学校になんて潜むわけないし、灯台下暗しという言葉があるように、ここには誰もこないことを踏んでいた。





ーーーだから油断していた。






ガサっと、葉っぱの音がする。


後ろに人の気配があると分かると、振り向き、 蹴りを入れる。


だけど空振りにおわり、今度はわたしの鳩尾に肘がはいる。


「っ……」


急所は流せたけれどバランスを崩し、そのまま地面に尻餅をつく。








「やっぱりすごいね。でも俺も負ける気ないから」

「え…」

「女と男の力の差をわからせてあげる。あんたは俺に勝てないんだよ。ね、阿部コウキさん。


ーーーいや、妹尾コウキさん?」





「………朔羅っ………」





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