エージェント
麗子が捕まっているとわかると、本城の組員たちの目つきがより一層険しくなる。
「……やっぱり只者じゃねぇよ」
「は?」
妹尾の小声を朔羅は聞き逃さなかった。
そして朔羅は改めてその女を見る。
「コウキ…?」
姿形は最後に会った時から変わらない。
ただ、髪の色と、目つきは全くの別人。
「話し合いで決まらないなら、実力行使だろ」
彼女がそういうと、赤羽の人間が一斉に周りに飛びかかる。
それに応戦するかのように本城の人間も応戦する。
本城の人間は麗子を掴む彼女を襲いに来るのだが、周りは彼女の実力を舐めていた。
舐めすぎていたんだ。
「母を返せ」
「ふん」
「宝っ…」
若頭が直接彼女を狙ってくるが、残念ながら彼女は想定済みだった。