エージェント





本城麗子はこの旅館の一番広い部屋にいる。
この旅館の防犯カメラの位置は調べがついているし、カメラや従業員にバレないように中へ入り込むことは、この職業柄慣れている。



「ーーー行くぞ」


まずは廊下で見張る男をひとり、不意打ちで仕留める。

完全に気配を消して近づいた為、拳一発急所に入れるだけで呆気なく倒せた。


続いて部屋の中へと入るが、流石に見張りの男が倒れた音で、もうすでに構える姿勢だった。

だけど、反応が遅い。



「ガハッ」


本城麗子には見向きもせずその男に勢いよく襲いかかり、そのままひじを鳩尾に入れる。
バランスを崩した隙に腕をひねり、背中を蹴り、そのまま床へと倒す。

その際、頭を強く打ち付けたらしく動かない。軽く脳震盪でも起こしたのか、起き上がる気配はない。
脈も、呼吸もしているから死んではいない。




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