エージェント
バカとは何だ、と言いたいところだけれど、どうせ言ったって言い返されるのがオチ。
わたしはぼんやりと、窓の外を眺めた。
西へ帰ると、銀が組長へ報告をする。
わたしは怒られるのを覚悟でそばにいたけれど、何も言われなかった。
セーヤは宮前にかなり怒られていたけれど、珍しく組長が宮前を止めていたので、組長はわたしが動くと必然的にセーヤも動くとわかっていたんだろう。
妹尾は大事をとり、その後宮前に付き添われ、九州へと戻っていった。
結局、組長の意図がなんなのかは分からず終い。
ただ帰り際に
「赤羽光希が狙われるようになるから注意しておけ」
と言っていた。
覚悟はしていたけれど、本当にその通りで、東の、本城は“赤羽光希”の情報を探しはじめていた。
でも、そもそもの情報が少なすぎる。