エージェント






彼がどれくらいセノに依存していたかっていうのは、身にしみて感じている。


凶変した彼は怖い。
多分きっと、本気を出せば、かなり手強い相手なんだろう。



あの日の、あの夜の宝さんは、今でも忘れられない。



無理やり抱かれ、それでも感じてしまうわたしをさらに襲う。

恐怖と快楽に脅かされたあの日の夜は、彼の人生を狂わせてしまったのかもしれない。



後悔の念に押されてしまう。





それでも彼が、自分の足で地に立てるようになればと、そう願ってやまない。



それに最後に見た彼の目には、今まであった彼の弱さはなかった。



彼は本城麗子に惑わされずに、誰かに劣等感を抱かずに、彼自身を見つめなおしてほしい。


わたしとのことは、そのキッカケになってくれればと思う。




< 234 / 297 >

この作品をシェア

pagetop