エージェント
彼がどれくらいセノに依存していたかっていうのは、身にしみて感じている。
凶変した彼は怖い。
多分きっと、本気を出せば、かなり手強い相手なんだろう。
あの日の、あの夜の宝さんは、今でも忘れられない。
無理やり抱かれ、それでも感じてしまうわたしをさらに襲う。
恐怖と快楽に脅かされたあの日の夜は、彼の人生を狂わせてしまったのかもしれない。
後悔の念に押されてしまう。
それでも彼が、自分の足で地に立てるようになればと、そう願ってやまない。
それに最後に見た彼の目には、今まであった彼の弱さはなかった。
彼は本城麗子に惑わされずに、誰かに劣等感を抱かずに、彼自身を見つめなおしてほしい。
わたしとのことは、そのキッカケになってくれればと思う。