エージェント
存在






そろそろ春の暖かさを感じる季節。
部屋の前の廊下の柱に寄りかかり、外を眺めていた。




「みーーつきさんっ!!」




学ラン姿で、手には卒業証書を持つセーヤ。


昼間っから元気な声で、しかも制服姿で赤羽の家に来れるのなんて、こいつくらいしかいない。



ーーそういや、今日はこいつの卒業式だったな。





「夜はエージェントで走りがあるんで、光希さんに報告したくて来ましたっ!」

「……うん」

「ようやく卒業っす!これで光希さんの元で仕事できる!」

「あっそ」

「あ、でも親父にエージェントはまだ落ち着くまで抜けるなって言われて、どないしましょう…」

「…………」

「………光希さん?」





「ーーーごめん、セーヤ」






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