エージェント
Ⅲ その男
衝撃の再会から数時間。
マンションに帰るなり、速攻で電話する。
全然出ないから、何度も何度も。
20回目の電話を掛けようとしたら、あっちから折り返しのコールがきた。
「ーーーー遅い」
『すんませんっ、光希さんっ!!』
着歴件数が普段ではあり得なかったのか、セーヤが土下座しながら電話をかけているのが、電話越しでも分かりそうなくらいの大声だ。
「で、調べついたの」
『本城朔羅っすよね、調べるも何も、俺らの世代じゃ有名な奴ですから…』
「じゃあ、こっちに来る前に教えたくてもいいだろ」
『仕方ないっすよ…。まさか高校に潜入するとは思うてへんかったんで…』
「わたしも同感」
『今までの光希さんの仕事内容なら、次男坊より、若頭狙う方向やと思って…』