幕末異聞
――文久四年 一月一日
屯所内で新年を祝う宴が催される。しかし、我二番隊は運悪しく市中見回りに当る。
正月で浮かれる隊士の中、相変わらず無愛想な赤城楓がいた。気になり永倉組長に耳打ちすると、放っておけの一点張り。稽古に付き合わされる我々の身にもなって欲しい。
――文久四年 一月十四日
征夷大将軍・徳川家茂入京にあたり、新撰組総出で隊服を身に纏い警護にあたる。我隊は一番隊と連携し警護にあたった。
沖田隊長と永倉隊長は和やかに会話をするが、二方と仲がいいと言われている赤城は一行に近づく気配は無い。
私事では、帰営後、土方副長に局長室に来るようにとのお達しを受けた。
近藤局長によるとどうやら俺は明日から観察方に配属されるらしい。
これで赤城の稽古相手から逃れられる。
――文久四年 一月二十日
監察方の仕事中、風の噂で尊王攘夷派の人間が京都に頻繁に出入りしているとの事。
詳細不明。