幕末異聞
(休んでないで働けってお告げか?!)

「やってらんねぇよ」

愚痴をこぼしながらさっき来た道を急ぎ足で戻る。

男の足はある場所で止まった。


――壬生浪士組屯所


それが男の仕事場だった。
早足で門を潜り、自室へ向かう。

「あ!副長。お帰りなさいませ!!」

途中何人か隊士に挨拶されたが、「おう」と適当に受け流す。

廊下を曲がって局長の部屋へ向かおうとしたその時、


――パァァァァァン…


破裂音にも似た音が道場から聞こえた。
屯所内にいた隊士たちは一体何事かと道場に駆けていく。


やむを得ず男も道場に足を運んだ。



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