幕末異聞
道場の入り口にはすでに何人かの隊士がいた。
「一体何の騒ぎだ?!」
隊士達を押し退け男は道場に入っていく。
「おぉ!!歳ッ!!!」
「副長ッ!!」
近藤と永倉は困り果てた顔で向かってくる男を見る。
「近藤さん、永倉君!これは一体…」
男が見た光景は信じがたいいものだった。
真っ二つに折れた竹刀が二本。
そして、目線を少しずらすとそこにはさらに驚くべき光景が広がっていた。
「………総司」
鼻血を出し、口からも血が出ている沖田の姿。
そして沖田と向き合っている女…。
女の方も目尻の横が切れて血が出ている。
二人とも息は荒く、立っているのがやっとのようだ。