幕末異聞
「女、名は?」
「人に名前聞く時は先に自分から名乗るのが礼儀とちゃいますか?」
「ふ…ちげぇねえ」
土方は煙管を置き、楓に向き直り
「俺は、新撰組副長 土方歳三だ」
とぶっきらぼうに自己紹介をした。
「…ん?新撰組??」
総司がその言葉に首を傾げた。
「そういえばまだ言ってなかったか!この間の政変で我々の働きが評価されてな。本日より浪士組は、京都守護職会津藩主・松平容保御預、新撰組と拝命されたのだ!!」
興奮しながら近藤が目を輝かせて言った。
「えぇ!!!!本当ですか?!」
沖田は思わず立ち上がる。
「馬鹿。この前話しただろう。今日のためにこの間隊分けしたんだろうが」
感情を素直に表に出すのが苦手な土方は沖田に悪態をついたが、顔はにやけていた。