幕末異聞
壱拾章:芹沢 鴨
「あぁぁぁぁ…しんど」
「だははっ!!体力ねーなー!」
思いっきりバシバシ背中を叩かれたはずみで楓は咳き込んだ。
「やめろや馬鹿力ッ!!背骨折れるやろ!」
朝稽古で散々沖田に絞られたため楓の虫の居所は悪かった。
激しい朝稽古を終え、原田と楓は汗で濡れた道着を井戸へ洗濯に行く途中だった。
「そういえばお前、平隊士と同じ部屋で寝てんのか?」
「アホ。そんなわけあるか!局長さんがちゃんと個室用意してくれたんや」
「おお!さすが近藤さん!!でも生意気だな〜。個室もらえるのなんて副長助勤から上のやつらだけなんだぜ?」
「だってうち強いもん」
「だっはっはっ!自分で言ってんじゃねーよ!!副長助勤ってーのはな、強いだけじゃなく他のやつらを引っ張っていける選ばれた人間のみがなれるんだよ!!」
たらいの中で道着を洗いながら原田は自慢気に言う。