幕末異聞
(こんな華奢な体して。楓はんよりずっと女々しい感じやな。
ウチの好みと違うわ)
値踏みをするように青年を上から下まで見回す。
「なんや?!総司知らんのか?
この人はお梅さんいうて、芹沢局長の恋人…なんか?」
楓が自信なさそうにこっちを向く。
よく考えれば楓と会ってまだ一ヶ月も経っておらず、お互いのことを何も知らなかった。
「恋人……ならええなぁ」
悔しいけど、うちもわかってなかった。
芹沢はんにどう思っているかなんて怖くて聞けない…。
だってうちだけが恋人同士だと思ってて勝手に舞い上がってたら恥ずかしいでしょ?