幕末異聞



――何かが来る



すぐそばに置いてあった鮮やかな朱色をした鞘の大太刀を強く握った。


(朝っぱらからほんま気分悪いわ)


いつでも抜刀できるように体勢を低くする。



穏やかなはずの鴨川の流水音がやけに耳についた。


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