幕末異聞
二人は藤堂からそれぞれの品物を受け取ったが、心なしか落胆しているように見える。
「……あれ?なにこの感謝されてない感じ」
「いや…感謝はしとるんやで?」
「はい、感謝はしてます。だけど…」
「「どうせなら食べ物が欲しかった…」」
「…お前らーー!!失礼にも程があるっての!
大体食い物なんて持って帰ってるうちに腐るっつーのッ!!」
温和な藤堂も流石にこの二人の言葉に激怒した。
「いや、長期保存するために佃煮とかができたんやないか!」
「そうですよ!長旅のお供をするために干菓子ができたんですよ!」
普通なら土産を買ってきて感謝されるべきであるが、いつの間にか藤堂が駄目人間の扱いを受けていた。
「え…?なに?
俺が悪いことになってない?!」
「悪いとは言っとらへんよ?
ただなんかぬるいねん」
「ぬる助」
「はぁ?!!
ってかぬる助とか言うなし!!滑ってるみたいで気色悪いだろっ!!」
いつでもどこでもいじられ役の藤堂はやはりこの二人にもいじられる運命なのだ。