盃に浮かぶは酒月
桂撫はその場に崩れ落ちた。
愛しい人に逢えないのなら、自分はなぜ生きているのか。
千年という気の狂うような時を生き、手に入れた結末がこれか。
民も富も幸もない、穢れた王の座か。
―――なぜ私は不老不死などになったのだ。
桂撫は嘆いた。
何度も、何度も。
こんな罰を受けるのなら、不老不死の力を手に入れるくらいなら……
「姫の……手にかかって死にたい……っ。」
気は狂い、心は荒み、感傷も失せた自分でもまだ…彼女を愛して良いのだろうか。
「……帝。この千年で、貴方様は穢れてしまわれた。
千年の一途な恋慕も最早、意味を成さないでしょう。
穢れた人間と、清い天人が結ばれることなど叶いません。
………それでも、わたくしは貴方様を恋うておりましたよ……。」