加納欄の唇 シリーズ27
「気になるんだったら、出席すりゃあいいだろ?」


「しねぇって言ってんだろ。用事があんだよ」



用事……?



あたしの耳が、ピクッと動いた。


会話には加わってないけど、耳だけは、しっかり加わっていた。


「今年は、楽しいゲームもあるらしいぜ」



ギクッ!



「ゲーム?毎年恒例のビンゴだろ?」



あたしは、その話題に触れてほしくなくて、話題をそらすか、逃げるか悩んだ。



「今年は違うぜ。そのゲームの優勝者には、プレゼントを用意してあんだよ。なぁ、欄」



イヤァ〜。



あたしにフラないでぇ〜。



「なんだよ、プレゼントが何か、お前知ってんのか?」


大山先輩に聞かれ。


「た、たいした、モノじゃ……」


誤魔化そうとしてみた。


「優勝者には、”欄とキスが出来る権利?”をプレゼントだってよ」



高遠先輩〜!



今、言わなくてもぉ〜!!!



チラッと大山先輩を見たら、ポーカーフェースを装いながらも、ものすごい形相でこっちを見てる大山先輩と、目が合った。


あたしは慌てて目線を外した。


額から嫌な汗が出てくるのがわかる。


「あん?誰が誰とキスするって?」


「欄と優勝者」


高遠先輩が、意味ありげに笑う。


「園田に話したら、喜んでゲームに参加するって言ってたぜ」



なんでそこに園田さんが出てくるのぉ〜?



「馬鹿か?」



大山先輩が、一言しゃべった。


間違いなく、あたしに向けた、言葉だった。


「だ、だって!最初、祥子さんだったんですよ。この役!で、でも、させるわけにはいかないじゃないですかぁ!!!高遠先輩が、睨んだんですからぁ」



あの時の様子を思いだし、身震いをした。



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