加納欄の唇 シリーズ27
毎年イベントに組み込まれているビンゴゲームは、商品が不評なため、盛り上がりにイマイチ足りないモノがあった。


そこで提案をしたのが高遠先輩で。


「ゲームをするなら、優勝者にご褒美がないと面白くもなんともない」


って言い出した所から皆が悪ノリを始めて、最初祥子さん中心で話しが進んでいたのに、何故か高遠先輩の誘導によって、祥子さんからあたしにすり変わっていたのである。


皆ジョーダンだと分かっているから話しも盛り上がっていた。


最初は”握手する”から始まった優勝者へのプレゼントだったのだ。


それが次第にエスカレートしていっただけなんだけど。


大山先輩へ報告した時には、話しが行き過ぎていた。



「お、大山、先輩?ジョ、ジョーダンですから」


あたしは、大山先輩に取り直そうとした。


「冗談じゃねぇよ、決定事項」


高遠先輩が、まだ人をダシにからかっていた。


「高遠先輩!」


あたしは、高遠先輩に向かって怒った。


もちろん、本気で怒ったわけではない。


でも、話題としては、楽しい話題ではなかった。


「いいんじゃねぇの?」



へ?



大山先輩から聞こえた言葉だった。


思わず、大山先輩を見つめてしまった。


「だから、いいんじゃねぇの?ま、欄とキスしたいなんて思ってる奇特な奴がいるかが問題だけどな。ある意味罰ゲームだろ。祥子の方がよっぽど盛り上がると思うけど、そこんとこはどうなんだよタカ」



チョット、マッテクダサイ?



あたしは、大山先輩の言葉に引っ掛かりを感じた。


もちろん、大山先輩の言葉の真の意味なんて考えたこともなかった。



「罰ゲームってなんです?」



あたしは、大山先輩に向かって質問した。


大山先輩は、チラッとあたしをみたけど、答えてはくれなかった。



あ〜そぉですか!



あたしとキスするのは、罰ゲームなんですか!!



だから最近、キスしてくれないんですか!!



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