BLACK〓MIRROR赤【1巻】


大輝の言葉に零は、動揺した。それもそのはず。

そこにエィナがいるというのに大輝が『誰と?』というもんだから……




「は? だってほら! 穴の奥に俺の言ってた夢の中の女の子が……」




零がもう一度女の子のいた穴の中を指差すと、もう女の子の姿はなかった

洞窟の中は何も変わっていない




「……え? エィナは?」




穴の奥に出口なんてない
この穴の出口はここだけ……

消えるなんてことはまずあり得ない話だと言うこと。




出口は俺の後ろにある。姿そのものを消さない限り洞窟を出ることは不可能なはず――







「げっ! 零まさか幽霊見たんじゃ……零だけに?☆」




「馬鹿いうなよ! マジなんだ!」




「はいはい」




大輝は零の話を全く聞かず、背を向け洞窟の外へ出た。

大輝の呆れた顔が零の話なんて信じていないとすぐにわかる。

相変わらず真剣な話になると聞かない大輝に零は、また一つため息をつく。




「おら! 零! 今日はサボるぜなんかおごれよ」



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