103回あなたを殺します
僕の考えを証明するかのように、僕とこの女性の左手の薬指にはお揃いのシルバーの指輪をしている。
物的証拠もあるんだ。
僕の考えはほぼ間違いないと思っていいだろう。
まさか結婚までしているとは思わなかったが…。
それで、え~と…
この女性の名はなんといっただろうか…。
結婚までしているみたいなのに馬鹿な話である。
頭の中を片っ端から捜索するように記憶の中を辿ってみる。
しかし…
……思い出せない。
何も。
この女性の名前だけではなくありとあらゆること、すべて…。
何もかも…。
なぜこんなところにいるんだ…?
そんなことより、ここはどこなんだ…?
いったい僕は誰なんだ…。
答えが欲しい。
どうしようもない思考ばかりが僕の頭を支配していく。