殺人修学旅行
8:29…
ガラガラ…!
「…おっはよー!」
「ひっ…!」
「…そ…そんな驚かなくても…」
挙げた手を下げつつ、キョトンとした目でこちらを見た。
そして西川に近づく。
問題に夢中になって全く人の気配に気づかなかった。
近くに来るなり、西川のルーズリーフを覗き込んだ。
「…予習?」
「……う…うん。」
私とは対照的な美しい女性…
西川には憧れの存在だった。
赤色で細いフレームのメガネを少し上げると、彼女の丸い目と綺麗な肌を舐めるように見た。
風も吹いていないのに、ショートで艶のある髪がなびく…
女子06番 早乙女 さくら
登校
「……ん?」
「…えっいや何でもない…!」
彼女を見過ぎてしまった。
ケラケラと手で抑えながら笑う姿に自分もつられて微笑を浮かべる。
そして笑った時に見えた制服の名札が目に入る。
この人は容姿だけではなく、名前までもが素敵なんだと改めて実感した。
自分より勉学に関しては劣っているが、それでも彼女は完璧に見えた。