カラー オブ ヘヴン
あの中には、間違いなく『ワ系』の連中も居たはずだ、とディンは思う。
関われば、自分もワ系だと知れれば、今までの生活は出来なくなる。
もしかしたら、あの青年と同じようにリンチに合い殺されてしまうかも知れない。
そんな恐怖が、彼らに見て見ない振りをさせたのではないか。
青年が、どれほどの酷い言葉を吐き捨てられたか。
聞いていた、はずなのに。
思い出すだけでも胸くそ悪い。
おまけに、自分の隣でハンドルを握るこのトウ系の部下も、『ちゃちなケンカ』としか思っていないようである事が、ディンの機嫌をますます損ねていた。
「……どうかしちまってるよ、まったく」
『鼎仁(ディンレン)』と刻印された自分のネームプレートを指で弾くと、ディンは短くなった煙草を乱暴に道路へ投げ捨てた。