カラー オブ ヘヴン
その話を聞いた時、あたしは子供心ながら、今のこの街とどう違うのかと思ったのだが。
この街に居れば、助かる?
男の話があまり理解できないまま、あたしは男の背中に手を回した。
男はあたしの胸元からまた首筋へと舌を移動し、そうして自分の濡れたズボンへと手をかけ、低く、言った。
「……生きてれば、だけどな」
言うと、男はいきなりあたしの両手を持ち上げて片手で締め上げた。
仰向けのあたしに馬乗りになった男の目が、ギラギラと光っている。
こいつ、強盗か……!
気付いた時には、もう遅い。
男の手には、いかにも切れ味の良さそうなナイフが握られていた。
「何すんのよ!やめて!!」
「うるせぇ!大人しく有り金全部よこせ!!こんな商売してやがるんだ、多少の額はあるんだろう!?」
必死に抵抗しようとするが、馬乗りにされた状態で両手も拘束されているため、十分な抵抗が何一つ出来ない。
「あんた、こんな事して龍上会に殺されても知らないわよ!この街の風俗店は、龍上が仕切ってんだから!!」
「なっ……!?」
苦し紛れに言った脅しは、どうやら多少の効果があったようだ。
男の力が抜けた一瞬をついて、あたしは下から男の股間を思いっきり蹴りあげる。
「ぐぅっ」
うずくまって呻く男から逃れ、あたしはベビードールのまま、形振り構わず店の外へと駆け出した。