カラー オブ ヘヴン
「いいじゃない、儲かったんだから。弾んだんでしょ?」
「倍って言ってもあたしは店でやってるから。マージンなんかほんの少しなんだよ。あたしもイオリみたいにフリーでやれないかなぁ」
シャオファとあたしは同い年で、幼馴染でもあり、親友だ。
シャオファは生まれてすぐ、あたしの家の路地裏にある娼館の前に捨てられていたらしい。
それからそこのママに育てられ、今では店に出て身体を売って生計をたてている。
「営業できる持家があればね。あたしなんか、もうこれでしか食べて行けないし」
「……そう言えばおじさん、もうすぐ七回忌だね」
「七回忌?何それ」
「イオリ知らないの?亡くなってから七年目に、故人を偲んで皆でお酒飲むんだって。こないだ来たワ系の客が言ってたよ」
「ふぅん……」
七年前のある日、父親が死んだ。
いや、正確に言うと、死んだのかどうかは定かではない。
行きつけのバーから出てきた父が、数人の強盗に襲われているのを見た、という人が何人か居たが、それも定かではない。
しかし、父が七年もの間帰って来ていないのは、紛れもない事実だ。
それから、現場に残された血だまりの中に、父が愛用していたライターが落ちていたというのも事実。