天才男と馬鹿女
たい焼き片手に携帯片手
家への足取りは重たい
「あー伊藤の糞ババァ!
まじムッカツク!‥まあママに
怒られるのも慣れてるし」
ブツブツ独り言を言いながら
歩いていると
「っあああぁぁああーっ!!!
どいて邪魔邪魔ぁぁあーっ!!」
キキィィィィィ──ガシャンッ
「いってえええ‥」
え?え?
あたしの横を猛スピードで
チャリに乗った男が来て、
電柱に思い切り衝突した‥
「あ‥あのー‥
だ、大丈夫っすか?」
おそるおそる聞くとその男は
「この糞ガキが!!!てめぇ
どこ見て歩いてんだよ!!あ?
ったく‥そんな馬鹿面して
堂々と道の真ん中
歩いてんじゃねーよバカ野郎」
ブチッ
その男の一言であたしはキレた
「はああ?馬鹿面はどっちよ!
もとはといえばアンタが
チャリぶっ飛ばしてきたから
いけないんでしょお?」
‥ん?
え?
え────────!!
見るとその男は
すでにいなかった。