蝶々遊び
「・・・髪は毎日手入れしてるから・・・」
「ふうん、へんなヤツ。」
「・・・」
そろそろ本気で腹が立ってきた。さっきからこの子は失礼な子だ。
自分で聞いておきながら適当な返事しかしなかったり、私の言葉にはストレートすぎる自分の意見を言ってくる。
それでも私が怒らないのは、多分、ここまではっきりと物を言われた事がなかったからだろう。
「・・・私、そろそろ戻る。」
「もう?」
「うん、お母さんが、きっと心配してるから。」
「ふーん・・・そう。」
「緋影のお母さんは心配しない?」
「ああ。俺はいらない子だからな。」
「??」
いらない子?どういう意味だろう。
「俺はいらないんだよ。あいつらにとっちゃね。あいつらの関心は全部、生まれたときから体の弱い姉ちゃんにある。それなら最初から俺のことなんか生まなきゃいいのにな。・・・まあ、俺と姉ちゃんは双子だから仕方ないけどさ。」
「・・・そっか。よくわかんないけど、緋影はいらない子なんかじゃないよ。」
「は?なんでだよ。」
「わかんない。」
私がへらりと笑いながらそういうと、緋影は少し怪訝そうな顔をして、首をかしげた。
「お前、やっぱりへんなヤツ。」
「ごめんね。」
「なんか調子狂う・・・。」
「うん、ごめんね。」
「・・・意味わかんねぇ。」
「うん、ごめんね。」
「・・・じゃあな、さっさと行けよ。」
「うん、お姉さん良くなるといいね。」
「・・・ああ。」