蝶々遊び
緋影に手を振り、足早に病室へとむかう。初めて家族以外の人と話したかもしれない・・・。そのことが私を元気にさせた。
早く部屋に戻って、お母さんにこのことを知らせたかった。
息を切らせて、エレベーターではなく、階段を小走りに上る。・・・そのとき、私の体がガクンと傾いた。
「っ!?」
発作だった。間一髪で、手すりにしがみつき、階段から落ちることはなかった。
だが、急におそってきた胸の痛みで、倒れそうだった。
「・・・っう・・・」
息が上がって涙がでそうになる。今日は体調が良かったので、油断していた。
比較的軽い発作だったが、苦しい事に変わりはない。
「お、かあ・・・さ・・・おとう・・・さん・・・」
私の体が、後ろに傾いたそのとき・・・
「麻朝!!」
「!?」
誰かが私を支えた。
「・・・緋影?」
「麻朝、大丈夫か?」
「ひ、かげ・・・緋影・・・くるし・・・」
「大丈夫だ、落ち着け。・・・そう、大丈夫・・・」
緋影の声は不思議と落ち着いた。
「・・・はぁ・・・は・・・あ・・・」
息が整ってきて、私の精神状態も安定してきた。